昔、私が中学生の頃(昭和40年代中頃)、東急東横線の反町駅に近い泉町の交差点付近に二件の古本屋がありました。カメラ雑誌や鉄道関係の雑誌を見たくて通っていました。当時は電車賃節約のため横浜駅西口から徒歩です。カメラ雑誌は今もある「アサヒカメラ」・「日本カメラ」以外に「カメラ毎日」というのもありました。別冊で「カメラ・レンズ白書」があり「アサヒカメラ」のニューフェイス診断室同様、最新カメラやレンズのテストレポートが載っていました。当時古ぼけたアサヒカメラの特集に「アサヒペンタかミノルタか」というのがあって、私としてはペンタックスSPとミノルタSRT101の比較かなと思ったのですが、開いてみるとペンタックスはS3ミノルタはSR3かSR1(不確かですが外付け露出計が付くタイプだったと思います)。どちらも現行機種ではなくてがっかりした思い出があります。私がペンタックスSPを購入した頃、S2(スーパー)はカタログに「ロングランのS2」といって載ってましたが、随分古くさいカメラだなあという印象でした。S3はS2の後のはず(番号からして)なのに何故カタログに出ていないのか不思議に思いました。しばらくしてカメラ雑誌を読みあさり、その辺が分かるようになったのでまとめておきます。

ペンタックスS2はシャッタースピード最速は1/500秒。レンズは半自動絞り(シャッターを押すと設定してあった絞り値まで自動で絞り込まれるが、手動でレバーを操作しないと開放には戻らない)のオートタクマー55mm F2

S3はS2の後継機でシャッタースピード最速1/1000秒。外付け露出計「ペンタックスメーター」を装着できる。レンズは外観はスーパータクマーと同じような完全自動絞りのオートタクマー55mm F1.8

S2の性能、機能を強化した後継機S3ですが、なんとS3が発売されると、S2にもペンタックスメーター連動用の切り欠き(溝)がシャッターダイヤルにつくのです。それだけでなく、しばらくして、なんとシャッタースピードも最速1/1000秒になって、完全にS3を飲み込んでしまうのです。こんなことが2~3年の間にあったのです。S3は立場が無くなってしまいますね。性能・機能を強化しつつS2のロングランは続いたわけです。

我が家にも一台あったのですが、ペンタックスメーターが付けられるようになり、シャッタースピード最速1/1000秒になる前に、シャッターダイヤルには1/500までしかないのに1/1000の位置にクリックがありそれなりのシャッターが切れるS2がありました。うわさではきちんと1/1000秒が出るのがS3用、怪しい(不合格)のがS2用にしたのではないかというのです。まあ、二種類作るよりもその方が効率がよいのかも知れませんね。新機能やグレードアップで新しい機種を出すだけでなく今までの機種に取り入れていく姿勢というのが、今の時代にはない、とてもすばらしいものに感じるのですが、手作りではない今の大量生産の工業製品には望んでも無理なことなのでしょう。

SPやSLが発売されてもS2(スーパー)のロングランは続きました。セルフタイマーを組み込んだSVを残さずにS2を残した理由は何だったんでしょう。異様に長生きだったS2と同じようなカメラがミノルタにも有ります。次回はミノルタSR。