アクセサリーシューの話④

ペトリのカメラ

ペトリの最初の一眼レフは1959年発売のペトリペンタ。このペトリ最初の一眼レフはM42,プラクチカマウント。2年後にはマウントが専用スピゴットマウントのV2が発売され完全自動絞り化された。専用スピゴットマウントはペトリV6やFTなどに使われていたがペトリ最末期、倒産する1979年には、またM42マウントのMF-1を発売している。

M42マウントの初代ペトリペンタ

 ペトリの一眼レフは最初と最後がM42マウントという珍しいパターン。ヤシカの一眼レフは最初ヤシカペンタマチックで専用バヨネットマウント。その後M42マウントの一眼レフを多数発売。経営破綻後コンタックスマウント(バヨネットマウント)のカメラを発売した。マミヤの一眼レフ(35ミリ)は1961年発売のプリズマットNPはエキサクタマウント。1962年発売のプリズマットWPは三本爪の専用バヨネットマウント。1964年発売のプリズマットCPはM42マウント。それ以外にもニコンFマウントのニコレックスFやM42マウントのリコーシングレックスもOEM生産していたわけで、いろいろ作っていた。その後は1966年M42マウントのTLシリーズ、定位置ロックピン付きのM42マウントのSXシリーズの時代が続く。1978年にはまた専用バヨネットマウント(CSレンズシリーズ)使用のNCシリーズ。1980年には電気接点が多数あるZシリーズに変わという傍若無人ぶり。ZEクォーツにNCのSXシリーズのレンズが付くことは付くが実用的ではない(レンズの指標が 横に来てしまう)。

 ペンタ最末期の横走り布幕フォーカルプレーンシャッターのMF-1はM42マウント ペンタ部に電気接点のあるホットシューが付く

 レンズマウントの話ではなくアクセサリーシューの話に戻すと、我が家にいくつかあったアクセサリーシューをペトリのカメラに付けてみる。Petriと刻印のあるアクセサリーシューは四角いファインダー接眼部の左右に溝があり、その溝に差し込む。ところがV2、V3には差し込む溝が有るのに初代ペトリペンタにはこの溝が無い。

アクセサリーシューを付けたV2,V3と付かない初代ペトリペンタ

 アクセサリーシューを付けたV2,V3のペンタ部に付いているシボ皮は単なる飾りだと思っていたが、アクセサリーシューを付けた際にペンタ部に傷が付かないように配慮したものかと思う。そう考えるとペトリのカメラは誠実丁寧に作られていたのかなとも思う。(ニコンの一眼レフのペンタ部にも皮がはってありますね)

左からペトリペンタ、V2、V3

 では、ペンタ部に皮を貼っていない初代ペトリペンタにはアクセサリーシューは付かないのでしょうか。

初代ペトリペンタとV2には、巻き戻しクランク側の軍艦部側面にネジ穴がある

 初代ペトリペンタでは巻き戻しクランク側の軍艦部側面のネジ穴にアクセサリーシューを取り付けるようになっていた。ペンタ部にはかぶらないので皮は貼ってないってことかな。V2には軍艦部側面のネジ穴も有るし接眼部の溝もあった。要するにどちらにも装着できることになる。初代ペトリペンタとV2には巻き戻しノブの左に使い道の分からない突起が有るが、これはアクセサリーシューを固定するための突起だった。

我が家のマミヤファミリーに付いていた軍艦部側面のネジ穴に付けるアクセサリーシュー
ペトリペンタ、V2にあるき戻しクランク横の突起

 V2とV3の一番のちがいはシャッターボタン側の軍艦部前面に外付け露出計装着用の二つの突起とシャッタダイヤルにシャッタースピード連動のためのピンが出ていることだと言える。他にもセルフタイマーのレバーや巻き上げレバーの軸の皿ネジが黒いか、アクセサリーシューを取り付けるネジ穴と固定のための突起が有るか等が有るがこれは個体により変更時期が違うこともあるようで我が家のペトリでもいくつかのバリエーションがある。

V6Ⅱとアクセサリーシューと外付け露出計を付けたV6
作り付けのアクセサリーシューが付いたFTとホットシュー付きのFTⅡ
ペトリの中で一番のお気に入りペトリカラー35。35ミリフルサイズなのにハーフ判のオリンパスペンやキャノンデミに負けない小ささ。(後期のデミに比べると明らかに小さい)
1961年発売のプリズマットNPはエキサクタマウント
右端の1962年発売のプリズマットWPは三本爪の専用バヨネットマウント。

アクセサリーシューの話③

富士写真フイルムのカメラ

フジカST701

真ん中が「FUJICA」のネームが浮き彫りになった初期のST701

 

 ST701は1970年発売の富士写真フィルム最初の35ミリフォーカルプレーン一眼レフ。新発売のわりにはTTL絞り込み平均測光という私の愛機ペンタックスSPと同じ古めかしいスペックだと感じた。受光素子にシリコンを使い、Cdsよりも応答速度が速いというのは実感できるほどではなかったが、ファインダーは明らかにペンタックスSPよりも明るく感じた。

箱に入った未使用のアクセサリーシューFORFUJICAST701

 このアクセサリーシューは実際使用したことがなかった。他のメーカーのアクセサリーシューが丁寧な梨地仕上げされているのに比べると、鉄板をプレスしただけの簡単で雑な作りのように感じる。

アクセサリーシューを装着したST701

 ミノルタやコニカのカメラと同じように円形の接眼部を反時計回りに回転させると外れ、アクセサリーシューを装着できる。何のためにあるのかわからなかった接眼部左の突起がアクセサリーシューを固定するための突起だったことがわかる。

アクセサリーシューの切り欠きが接眼部左の突起にかかり左右に動かないようになる。

 いろいろな資料を読んでいると黒ボディー用に黒く塗装されたアクセサリーシューがあったり、ST801のように作り付けのアクセサリーシューがついているものがあったり謎も多い。

ペンタ部のFUJICAの文字が浮き彫りになっている初期のST701
二年後の1972年に発売されたST801にはホットシューが付いている。

アクセサリーシューの話②

コニカのカメラ

 1965年発売の世界初のAE一眼レフ(外光式)のオートレックス。1968年発売のわが国初のTTL-AE一眼レフのコニカFTA。オートレックスの外光式AE機構を省略したオートレックスP。これらのアクセサリーシューもありました。

左からオートレックスP・オートレックス・コニカFTA

 ミノルタと同じように円形の接眼部を反時計回りに回転させると外れ、アクセサリーシューを装着できる。接眼部の左右に切り欠きがありアクセサリーシューがぐらつかないように固定できる。

 左からアクセサリーシューを装着したオートレックスP・オートレックス・コニカFTA(黒)黒ボディーだと接眼部の切り欠きとアクセサリーシューの突起がよくわかる。

 この時代のコニカの一眼レフはシャッター速度優先のAE機構からレリーズボタンがお化け煙突のように長く、重くストロークもかなり長かった。三台を並べてみるとAE機構を省略しているオートレックスPのシャッターボタンだけがストロークの短い普通のシャッターだった。巻き戻しノブも1軸式で軽快なお気に入りの一台だった。

アクセサリーシューを装着したオートレックスP・オートレックス・未装着のオートレックスP巻き戻しノブの違いも分かる。

 コニカFTAは後期になってシャッターのロック機構が付きシャッターボタンの高さ、ストロークが改善されたように見えるが見た目だけ。実際に改善されるのは後継機コニカオートリフレックスT3になってからですね。

左からコニカFTA後期(シャッターのロック付き)・オートリフレックスT3・ニューオートリフレックスT3

 オートリフレックスT3にもこのアクセサリーシューを装着することができるが、接眼部上に電気接点がありホットシューになるものが発売されていた。一年後に発売されたオートリフレックスニューT3では固定されたホットシューが付いた。

電気接点がありホットシューになるアクセサリーシューを装着したオートリフレックスT3と一年後に発売されたオートリフレックスニューT3
ホットシュー付きニューオートリフレックスT3

 我が家にはまだKONICAの刻印のあるアクセサリーシューがあった。接眼部左右の溝に差し込むタイプでストッパーもついている。古いコニカのFS・FP・FMなどを見てみると接眼部左右に溝がある。このシリーズのアクセサリーシューに間違いないと思われるが、またまた見つけてしまったKONICAの刻印のあるアクセサリーシューがあった。

コニカFPとアクセサリーシュ
アクセサリーシュを装着

 なんと我が家のコニカFSには既に巻き戻しノブの下に差し込むタイプのアクセサリーシューが付いていた。これにもKONICAの刻印があるので純正の物であろうし、巻き戻しノブの下の差し込みは他の使い道を知らない。

二つのタイプのアクセサリーシュー
それぞれのアクセサリーシューを付けたFSとFP
もちろん両方装着することもできる

 フラッシュを巻き戻しノブの上に付けるか、接眼部(レンズ)の上に付けるかによって写真も違ってくるのだろう。レンズの上にあると赤目が出やすいって話も聞いたことがある。後のカメラでもどちらも存在する。好みや撮影目的で選択できたとすると特筆ものだがコニカの以降のカメラには見られない。